紅葉が古刹を染める美しさ
山門の紅葉【撮影12月上旬】
北鎌倉の駅を降りると徒歩2分で円覚寺。ほの暗い杉木立に囲まれて威厳のある山門が目入る。さすが鎌倉の風格を存分に備えた立派さだ。
山門を抜けるとすぐに仏殿があり、路を挟んでその横に楓の木に包まれた座禅道場居士林がある。
楓の葉が色づき枝を差し交わした紅葉が古刹を染める美しさは一品、心を打つ禅寺の秋の情景だ。
居士林・モミジの紅葉【撮影11月中旬】
仏殿秋彩【撮影12月上旬】
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銀杏の黄葉が寺を飾る
鎌倉尼五山第二位の格式を持つ尼寺、豊臣秀頼の娘である天秀尼も住持を務め、養母千姫を通して徳川幕府とも
深い縁があった東慶寺。
この寺は早春の梅がすばらしいが、秋には寺を囲む雑木林の紅葉と境内奥にある銀杏の黄葉が寺を飾る。
円覚寺弁天堂の茶店から眼下に東慶寺が眺められ、
白壁の土蔵と銀杏の黄葉とが一瞬の鎌倉の秋を彩って眩しく見える。
時を刻んだ美しさ
シュウメイギク【撮影11月上旬】
浄智寺は鎌倉五山の一つだと聞いて、おやっと思う人も多いだろう。
鎌倉五山第四位の格式ある寺のわりにはささやかな佇まいだ。門前の鎌倉石の階段は傾きかけ、境内の庭はどこかの民家の庭かと見まがうほどの質素さである。だが、一見手入れが行き届いてないように見えながら、草を活かし、花を活かし、自然を活かした境内の造りに奥ゆかしさを感じ惹かれるものがある。
シュウメイギクが茅葺の書院を飾る。
すりへった石の階段が続く参道は時を刻んだ美しさだ。
参道【撮影12月上旬】
柿実る【撮影12月上旬】
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深紅の彩りが華やかに
建長寺は円覚寺とならぶ鎌倉屈指の寺、鎌倉五山第一位の格式だ。
「五山」とは中国にならい臨済宗(禅宗)の寺の格付けを決めたもの。 第一位・巨福山(こふくさん)建長寺 第二位・瑞鹿山(ずいろくざん)円覚寺 第三位・亀谷山(きこくさん)寿福寺 第四位・金峰山(きんぽうざん)浄智寺 第五位・稲荷山(とうかさん)浄妙寺
仏殿の紅葉【撮影12月上旬】
半僧坊のモミジ【撮影12月上旬】
鎌倉観光ルートからは外せない名刹のためか、いつも観光バスで乗り付けるおおぜいの観光客でにぎわう。
鎌倉禅文化を象徴する禅寺の雰囲気が台無しだがこれもしかたがない。
団体客が通り過ぎるのを待ちながら散策する。
秋燦燦の午後、境内に点在する楓がみな逆光にすかされて、深紅の彩りを一層増して華やかに見えた。
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