G
raceful Mountain
名峰を讃う
五竜岳
岩稜峻険の山容
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北アルプス
五竜岳
(日本百名山46)
白馬
岳から唐松岳を経て、五竜岳、鹿島槍ケ岳へと連なる尾根道は 岩稜峻険の後立山縦走の難関である。
一般の登山者にはなかなか近づき難い山で、 特に五竜岳南面から鹿島槍ケ岳へ続く峰は八峰キレットと呼ばれる難所だ。
他
の山のような美しいスマートさはないが、 壮大な荒々しい山稜は北アルプスの盟主のひとつとして引けをとらない。
【写真:八方尾根から五竜岳を展望】
北槍と南槍
双耳峰の優美な山容
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北アルプス
鹿島槍ヶ岳
(日本百名山47)
鹿島槍ヶ岳
へ登るには、信濃大町から扇沢へ行き、そこから柏原新道を通って登るのが便利である。 柏原新道を登りきった所に種池山荘がある。そこからわずかの登りで爺ケ岳に着く。 この山は山頂らしい特徴が何もないが、展望には恵まれている。 どっしりとした平ったい蓮華岳がまず目を引く、それに並んで針ノ木岳、また、黒部の谷を隔てて、剣岳、立山三山を展望できる。
そして、
眼の前にそびえる鹿島槍ケ岳が堂々たる姿で周囲を圧している。 右に北槍、左に南槍の双耳峰がそれぞれ独自に弧を描いて、後立山連峰の盟主に相応しい風格を誇っている。 その雄姿を正面に見ながら、しばらく下ると冷池山荘がある。そこから、いよいよ鹿島槍へ登ることになる。
【写真:五竜岳山頂から、八峰キレット越しに鹿島槍ケ岳を展望】
冬こそ丹沢は
本領を発揮する
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東丹沢
塔ノ岳
(日本百名山71)
丹沢
は3000メートル級のアルプスには到底及ばない標高の低い山である。 しかし、これほど人気のある山は他に多くはない。 春と秋はもちろんのこと、夏冬問わず年間を通じて登山客があり、 むしろシーズンオフの冬こそ丹沢は本領を発揮する。
シーズン中は北アルプスなど華やかな山を登山者は目指す。だが、それが過ぎれば小屋は一斉に閉ざされる。しかし、丹沢の小屋は閉まらない。年間を通して営業する。
山
好きの人は四季を通して山に登らずにはいられない。そこで、冬季は丹沢で、ということになる。しかも、この時期は大気の透明感が増して遠くの山がよく見える。 塔ノ岳の山頂に立ち、正面の富士山を始点に眼を右に移せば、山それぞれのわずかな特徴を捉えて、赤石岳、悪沢岳、塩見岳、北岳と白銀に輝く南アルプスの峰々を遠望できる。
モルゲンロートに染まる
山岳美
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南アルプス
白峰三山
(日本百名山80)
薬師
岳からみる雪の白峰三山は幾度見ても心を打たれる。
星の輝きがまだ少し残る空を見上げながら小屋を 出る。東の空は既に白みかけ、孤高の富士がシルエット になって浮かんでいた。静かで寒い朝だ。山頂を吹き抜 けていく風は微風だが身体の芯まで凍えそうだ。
6時
56分、富士より少し離れた左手より太陽 が顔を出す。わずかな光だが、あたりの景色をみるみる暖かく 包む。
巨大な宝石箱のふたを開けたように北岳、 間ノ岳、農鳥岳に連なる早春の白い峰々 が一斉に輝き始める。
新緑と残雪が織り成す
美しさ
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北アルプス
白馬三山
(日本百名山45)
花
と雪の山、これが白馬岳の第一印象であろう。
夏のシーズン中は雪渓のトレールに沿って、長い登山者の列が尽きることがない。
残雪を踏む清涼感、咲き広がるお花畑、雪解けの小さな沢の流れ、
白馬ならではの美しい登りが続く。
白馬には白馬岳三山と呼ばれる3つのピークがある。 これは隣接する八方尾根から眺めたときによく判る。 左の大きい山が白馬鑓ケ岳、そして杓子岳、白馬岳とピークが続く。 7月始め頃、梅雨の晴れ間に見る白馬三山は新緑と残雪が織り成すまばゆいばかりの美しさだ。
北岳山頂から見る
甲斐駒ケ岳
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南アルプス
甲斐駒ケ岳
(日本百名山77)
甲斐
駒ケ岳は標高2966mと3000mにはわずかに及ばないが、登るにはけっこう手ごわい山である。
北沢峠から登る場合、途中の駒津峰まではなんなく行ける。
だが、そこから甲斐駒ケ岳の頂上を間近に見上げると、急峻な岩稜の尾根が荒々しい様相で迫って見える。
一瞬、登るのを躊躇したくなる思いにかられる。が、見た目ほどは難しくない。
途中、
直登コースと巻き道のコースに分かれるが、行きは直登コースを選ぶ。 岩に塗られたペンキの目印をたよりに、岩場をひたすら進んで行けば、急に視界が開ける。目的地の山頂である。
花崗
岩の白砂を敷きつめた山頂の美しさは格別な趣がある。さっそくきれいな砂の上に腰を降ろし、 山々を眺める。登り終えたあとの至福のひと時である。 仙丈岳から北岳、間ノ岳へと続く起伏に富んだ稜線が小気味好い。遥か遠くに北アルプスの山並を望み、また、 鳳凰三山への視線の先に秀麗な富士の姿を見る。
観音岳から見る
地蔵岳(最右端)
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南アルプス
鳳凰山・地蔵岳
(日本百名山79)
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南アルプス
鳳凰山・地蔵岳
(日本百名山79)
地蔵
岳、観音岳、薬師岳、この三つの山を総称して鳳凰三山と呼ぶ。山頂部は花崗岩の白砂で覆われ、大小の岩と調和して美しい。 岩峰が続く稜線の中央に位置する観音岳は三山きっての展望地である。
甲府
盆地から一気にせり上がって、その先端にある巨大な石のオベリスクが天を突く。 高さ約十八米。 それ故に、地蔵岳は鳳凰三山のうちで標高は一番低いにもかかわらず、遠くから眺めた場合、まず始めに目につく山である。
お花畑あり、雪渓あり
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尾瀬
至仏山
(日本百名山29)
残雪
期(ゴールデンウィーク前後)、この時期の至仏山は、春山の穏やかな面と雪山の厳しい面を持っている。
安易な入山はとても危険であり、雪上登山の技術を持たない人は入山を控えるべきだ。 5月7日からは植生保護のため閉鎖となり、7月1日から登山解禁となる。
夏
のはじめなら道の途中は湿原あり、お花畑あり、雪渓ありと変化に富んで、快適な山登りとなる。 足元に咲く高山植物の花に元気ずけられ、疲れを感じることなく頂上に立てる。 山頂は日光白根山、会津駒ケ岳などの展望が開ける。 とりわけ、尾瀬ケ原を挟んで至仏山と相対する燧岳は、そのたおやかな山の姿に暫し見惚れてしまう。 眼下に見える尾瀬ケ原の喧騒は、ここまでは届いてこない。
一級の尾瀬景観
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尾瀬
燧ケ岳展望
(日本百名山28)
尾瀬
ケ原の山の鼻から至仏山を登ること40分。 しらびその森林限界を抜けたここまで来ると眼下に見える尾瀬ケ原の喧騒は、届いてこない。尾瀬ケ原を隔てて至仏山と相対してそびえるのが燧岳だ。そのたおやかな山の姿には誰もが暫し見惚れてしまうだろう。
どの
山にもビューポイントといわれる景色の優れた特別な場所があるが、ここもそのひとつ。だが、黎明の尾瀬ケ原を後に暗闇の林を登りきって ここで日の出を迎える登山者は少ない。
朝日を受け、 移りゆく瞬間の絶景に心を奪われシャッターを切る。一級の尾瀬の景色を独り占めだ。
日本一の
石楠花が咲く
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伊豆
天城山万三郎岳
(日本百名山73)
天城
山はシャクナゲ、アセビ、ヒメシャラ、ブナなどの植生で知られる。
主峰となる万二郎岳 と 万三郎岳間の「馬の背」と呼ばれる尾根にはアセビの樹林の中を抜ける登山道アセビのトンネルがある。
万三郎
岳の山頂付近には、5月中旬、ブナの原生林の中にアマギシャクナゲの大群落が咲き競う。
深田久弥著「日本百名山」、田中澄江著「花の百名山」にも紹介されており、 天城山はそれに相応しい日本一の石楠花が咲く花の名山である。
熊笹の峰
ゴヨウツツジ咲く
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西丹沢
檜洞丸
(日本百名山71)
5月
末から6月にかけての初夏の頃、丹沢の山がいっせいに華やぐ。 檜洞丸の中腹部から上部にかけてはミツバツツジとゴヨウツツジが群生している。
特にゴヨウツツジは那須の御用邸で咲くことから、皇室愛子様のお印になっている。 緑の葉を枝いっぱいに広げ純白の花を咲かせるその様は 格調がありお印に相応しい。